なぜインナーマッスルは重要か?
インナーマッスルの重要性を理解するにあたって、アウターマッスルを知る事も重要になってきます。
@ アウターマッスルとは?
アウターマッスルとは簡単に言うと、目で見える筋肉で、インナーマッスルにかぶさる大きな筋肉です。
肩周りでは、三角筋、僧帽筋、広背筋、大胸筋などの事を指します。
先ほど述べたように、インナーマッスルが回旋的運動を助けるのに対して、これらの筋肉(アウターマッスル)は直線的に力を発揮します。
A インナーマッスルとアウターマッスルの関係
アウターマッスルがインナーマッスルよりも強すぎると、肩に無理な動きを強いてしまいます。
それにより、肩の障害(インピンジメント・シンドローム(ぶつかり症候群)など)が起こってしまいます。
だから、インナーマッスルは重要なのです。
例えば、投球動作で腕を引きつける時に、主に棘上筋(インナーマッスル)と三角筋(アウターマッスル)が働きます。
しかし、三角筋が強すぎて、棘上筋が弱かったらソケット状の形が維持できず、バランスが悪くなって、腕の骨が上にずれあがった状態になってしまいます。
これにより、骨と骨がぶつかりあったりして、じん帯がその隙間に挟まってしまい、肩の障害(腱板炎)が起きてしまいます。
筋肉が発揮した大きな力を伝達し、運動に変換するのは関節です
関節には、肩関節のような球関節、膝関節のような蝶番関節などいくつかのタイプがありますが、いずれも自由度の大きさと引き替えに、ある程度「はずれやすい」構造をしています。
このため、じん帯や関節包がしっかりと関節のまわりを包みこんでいます。 |
一方、球関節のように多様な動きをする関節まわりには関節を安定化するのに重要な筋群が多数あります。
肩関節では、広背筋や三角筋にかくれて見えないところに、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という、肩の外旋筋群(カフ・ローテーター)があります。
これらは、「インナーマッスル」と俗称されます。
これらの筋群が重要視される理由は次の二点です。
ひとつは、上半身の最も大きな筋である大胸筋、広背筋のいずれも、肩を内旋させる作用をもつため、これが大筋力を発揮するような動作では、外旋筋群が拮抗して肩関節を安定化します。
第二には、三角筋などによって肩を挙上するときに、これらの外旋筋群がはたらいて、肩の上方へのずれを防ぎます。
これらの外旋筋群の筋力が低下すると、力学的ストレスによってじん帯や滑液包に炎症が生じ、「インピンジメント症候群」などの肩痛の原因となると考えられています。 |
同様に球関節である股関節でも、比較的小さな、「見えない筋肉」が、関節を安定させる上で重要な役割を果たしています。
中殿筋、小殿筋、恥骨筋、長内転筋、外閉鎖筋、方形筋、梨状筋などです。 |
※コラム:深層部の筋肉は軽めの負荷で鍛える
ローテーター・カフの強化は普段の動作ではなかなか鍛えられないので、軽めのダンベル(1キロ程度)やチューブなどを利用した負荷を用い、正しいフォームで行うことが大切
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